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再臨の前兆―─暗黒日 GCJap 352

日と月が暗くなるという預言の次のしるしは、その二五年後にあらわれた。このしるしに関してさらに驚くべきことは、その成就の時が明確に示されていたことである。救い主は、オリブ山上で弟子たちと語り、教会の長い試練の期間、すなわち、一二六〇年間にわたる法王権の迫害について述べ、その苦難は短くされると約束された。 GCJap 352.1

それから、再臨に先立って起こる諸事件をあげて、その最初のものがいつ起こるかを定められた。「その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ」(マルコ13章24節)。一二六〇日、すなわち一二六〇年は、一七九八年に終わった。その四半世紀前に、迫害はほぼ完全にやんでいた。キリストの言葉によれば、この迫害のあとで日が暗くなるのであった。一七八〇年五月一九日に、この預言は成就した。 GCJap 352.2

「この種の現象として、他に類例がなく、最も不思議で説明することができないものは……一七八〇年五月一九日の暗黒日である。これは、ニュー・イングランド地方の空全体を覆った不可解な暗黒である」 GCJap 352.3

マサチューセッツ州に住んでいた目撃者は、その出来事を次のように語っている。「太陽は、朝晴れやかに昇ったが、まもなく雲がかかった。雲は荒れ模様となり、まもなく、黒く無気味な雲から稲光が光り、雷が鳴り、雨も少し降った。九時ごろには雲が薄らぎ、真ちゅうか銅のような色になり、地面も、岩も、木も、建物も、水も、人々も、この不思議な、この世のものとは思われない光に照らされて変わって見えた。その数分後には、地平線に細い一線を残して、全天を黒い雲が覆った。その暗さは普通の夏の夜の九時ごろの暗さであった。…… GCJap 352.4

人々の心は徐々に、恐怖と不安と畏怖の念に満たされた。女たちは戸口に立って、暗い景色をながめていた。男たちは畑の仕事から帰ってきた。大工は道具を、鍛冶屋はふいごを、商人は売り場を離れた。学校は授業を取りやめ、子供たちはおびえながら家に帰った。旅人は最寄りの農家に泊まった。『いったい、どうなるのだろう?』とだれもが心に思い、口に出してたずねていた。それは、あたかも大嵐が地上を襲おうとするか、それとも万物の終わりの日であるかのように思われた。 GCJap 353.1

ろうそくに火がつけられた。炉の火は、月の出ない秋の夜のようにあかあかと燃えた。……鶏は巣に帰って寝た。家畜は、牧場の柵に寄ってきて鳴いた。カエルが鳴き、小鳥は夜の歌をうたい、こうもりは飛びかった。しかし、人間は、夜が来たのではないことを知っていた。…… GCJap 353.2

セイレムのタバナクル教会の牧師、ナサニエル・ホイッテカー博士は、集会所で伝道集会を開いて説教し、その中で、この暗黒は超自然的なものであると言明した。その他多くの場所で、会衆が集まった。即座に行われた説教の聖句は、どれも、暗黒が聖書の預言と調和することを示すと思われるものであった。……暗黒は、一一時を少し過ぎたころが最も濃かった」「昼間であるにもかかわらず、その地方一帯の暗黒は非常に深く、ろうそくをつけなければ、時計や柱時計を見て時間を知ることも、食べることも家事をすることもできなかった。…… GCJap 353.3

この暗黒の範囲は非常なものであった。東は、ファルマスに及んだ。西は、コネクティカットの端と、アルバニー市に至った。南は、海岸地方一帯に及び、北は、アメリカの植民地が広がっている全域を覆った」 GCJap 353.4

昼間の濃い暗黒は、夕方の一、二時間前まで続き、まだ暗く重苦しい霧にさえぎられてはいたが、幾分か晴れた空のすきまから太陽があらわれた。「日没後、また雲が出てきて、急速に暗黒になった」「その夜の暗黒は、昼間の暗黒にまさるとも劣らぬ異常で恐ろしいものであった。月は、ほとんど満月であったにもかかわらず、灯火の助けを借りなければ、何も見えなかった。その灯火でも、隣の家々や遠方から見たならば、光線をほとんど通さないエジプトの暗黒を通して見るようであった」。この光景の目撃者は言った。「わたしはその時、宇宙のすべての発光体が、なにものをも通さない闇に包まれるか、あるいは消え去るかしても、これ以上の暗黒はあり得ないのではないかと、考えずにはおれなかった」。その夜九時に、月は完全に姿をあらわしたが、「それには、死のような闇を消す力はなかった」。夜半後になって闇は消え、月が見えはじめたが、その時、それは血のようであった。 GCJap 354.1

一七八〇年五月一九日は、歴史上「暗黒日」となっている。モーセの時代以来、これほどの濃さと広さと時間的長さをもった暗黒は、記録されていない。目撃者によるこの事件の描写は、その成就の二五〇〇年前の預言者ヨエルが記録した主の言葉の繰り返しに過ぎない。「主の大いなる恐るべき日が来る前に、日は暗く、月は血に変る」(ヨエル書2章31節)。 GCJap 354.2