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序
山上の説教は、この世界に対する天の祝福であり、神のみ座からの声である。それは義務の法則として、また天の光として人類に与えられたものであって、失望におちいった時の希望と慰安になり、浮き沈みの多い人生において、喜びとなり慰めになるように与えられたのである。ここで、説教者中の説教者、大教師イエスは、父なる神が語るようにと与えられた言葉を発せられるのである。MB 1123.1
山上での祝福の言葉は、ただ単に信じる者だけではなく、人類家族全体に対するキリストのあいさつの言葉である。イエスは、しばし、ご自分が天上ではなく、この世界にいることを忘れられたかのように見受けられる。そして、イエスは光の世界で言いなれたあいさつの言葉を用いられる。長い間閉ざされていた豊かな命の流れがほとばしり出るように、祝福の言葉がイエスの唇からあふれ出るのである。MB 1123.2
キリストが常に是認して祝福される品性の特徴は、疑う余地がないほど明らかにされている。イエスは、世の野望を夢見た人気者に背を向けて、彼らが顧みない世に捨てられた人々に心を寄せ、主の光と命を受けるすべての者に祝福を宣言されるのである。心の貧しい者、柔和な者、謙そんな者、悲しむ者、侮られる者、迫害される者に、イエスは保護のみ手を伸ばして、「わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう」と言われるのである。MB 1123.3
キリストはこの世界の苦悩をごらんになっても、人類を創造したことを少しも悲しまないでごらんになれるのである。キリストは、人間の心の中に罪と苦悩だけをごらんになるのではなく、それ以上のものを見られるからである。主は、無限の知恵と愛のうちに、人間の可能性、すなわち人間がどんな高さにまで到達できるかを見られるのである。たとえ人間が、神の憐れみを乱用し、神がお与えになった尊厳を破壊してしまったとしても、なお人間をあがなうことによって、創造主に栄光が帰せられることを知っておられるのである。MB 1123.4
祝福の山からキリストが語られた言葉は、各時代にわたって、その力を保つことであろう。1つ1つの文は真理の宝庫から取り出された宝石である。この説教において述べられた原則は、各時代のあらゆる種類の人々のためのものである。キリストは、正しい品性を形成したためにさいわいになった人を次々に述べ、ご自分の信仰と希望を力強く表明されたのである。主を信じ、命の与え主なるイエスの生涯をわたしたちがたどることによって、だれでも、主のことばの中に掲げられた標準に到達できるのである。MB 1123.5