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人類のあけぼの

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    第63章 ダビデとゴリアテ

    本章は、サムエル記上16:14~23、17章に基づくPP 335.1

    サウル王は、自分が神に拒否されたことを認めた。そして、預言者が彼に対して言った非難の言葉の力強さを感じた時に、彼は、激しい反逆と絶望感に満たされた。高慢な王を屈服させたのは、真の悔い改めではなかった。彼は、自分の罪の憎むべき性質を明らかに悟らなかった。そして、自分の生活の改革に努力しようとはせずに、イスラエルの王座から彼を追い、継承権を彼の子孫から奪ったことを、彼は神の不法行為であると考えて憂いに沈んだ。彼は、自分の家にもたらされる破滅のことばかり考えていた。彼は、自分が敵と戦った時にあらわした勇気が、不服従の罪を償うものと考えた。彼は、心を低くして、神の懲らしめを受け入れなかった。しかし、彼の高慢な心は絶望的になり、今にも理性を失いそうになった。王の家来たちは、美しい楽の音によって王の心の悩みを和らげようとして、巧みに音楽を奏する者を捜し出すように勧告した。ダビデは琴をひくことが巧みであったので、神の摂理によって王の前に召し出された。天の霊感による彼の気高い旋律は、期待したとおりの効果があった。黒雲のようにサウルの心をおおった陰うつさが、不思議にも取り除かれた。PP 335.2

    ダビデは、サウルの宮廷の務めがないときには、高原の自分の羊群のところへ帰って、彼の心と態度の単純さを持ち続けていた。彼は、必要なときには、いつでも王の前に召し出されて、悪霊が王を去るまで彼の悩む心をなだめるのであった。サウルは、ダビデと彼の音楽を楽しんでいるけれども、若い羊飼いは王宮から自分の牧場のある野や山へ帰って、ほっとしたうれしさを味わうのであった。PP 335.3

    ダビデは、ますます神と人から愛された。彼は、主の道を歩くように教えられていたが、ここで、これまで以上にもっと神のみこころを行おうと決心した。彼は、新しい主題について考えていた。彼は、王の宮廷に出入りして、王の責任がどんなものであるかを悟った。彼は、サウルの魂を悩ます誘惑を見いだし、イスラエルの最初の王の性格と行状の秘密を見抜いた。彼は、王の栄光が悲哀の暗雲におおわれるのを見、サウルの一族の家庭生活が、幸福なものでないことを知った。イスラエルの王として油を注がれたダビデにとって、こうしたことはすべて心配の種であった。しかし、彼は、物思いに沈み、心が苦しくなると、琴をかきならしてすべての良い物の与え主であられる神のことを考えるのであった。こうして、彼の将来をかげらせるように思えた暗黒が消えるのであった。PP 335.4

    神は、ダビデに信頼という教訓を与えておられた。主は、モーセをその任務のために訓練されたように、エッサイのむすこに神の選民の指導者になる準備を与えておられた。彼は、自分の羊群の世話をしながら、偉大な牧者であられる主が、彼の牧場の群れを養われることを理解した。PP 335.5

    ダビデが、羊群を連れて放浪した寂しい山や険しい谷間には、野獣が横行していた。ヨルダンの茂みからライオンが出てきたり、山のほら穴から腹をへらして獰猛になった熊が出てきて、羊群を攻撃することもよくあった。ダビデがそのころの習慣に従って持っていた武器は、石投げと羊飼いの杖だけであった。しかし、彼は、早くから委ねられたものを保護する能力と勇気を持っていたことを示した。後に彼は、こうした出来事について言った。「しもべは父の羊を飼っていたのですが、しし、あるいはくまがきて、群れの小羊を取った時、わたしはそのあとを追って、これを撃ち、小羊をその口から救いだしました。その獣がわたしにとびかかってきた時は、ひげをつかまえて、それを撃ち殺しました」(サムエル記上17:34、35)。ダビデは、こうした経験にあってその心がためされ、勇気と堅忍不抜の精神と信仰とが強められていった。PP 335.6

    ダビデは、サウルの宮廷に召される以前から、勇敢な行動によって頭角を現していた。彼を王のところに連れてきた士官は、彼のことを「勇気もあり、いくさびとで、弁舌にひいで、……また主が彼と共にお られます」と言った(同16:18)。PP 335.7

    イスラエルがペリシテ人に宣戦を布告したとき、エッサイの3人のむすこたちは、サウルの軍に加わった。しかし、ダビデは、家に残っていた。ところが、しばらくたって、ダビデはサウルの陣営をたずねた。彼は、父の命によって、兄たちのところへ伝言と贈り物を持っていき、彼らが安全で元気かどうかを見とどけてくることになった。父のエッサイには、何もわからなかったが、年若い羊飼いには、さらに大きな任命が託されていたのである。イスラエル軍は危機にひんしていた。そして、ダビデは、自分の国を救うために天使に導かれていたのである。PP 336.1

    ダビテが軍隊に近づくと、今にも戦いが始まるような騒がしい物音がした。「軍勢は、ときの声をあげて戦線に出ようとしていた」(同17:20)。イスラエル人とペリシテ人とは戦列を敷いて両軍が向き合っていた。ダビデは、兄たちのところへ走っていって、彼らの安否を尋ねた。彼が兄たちと話していると、ペリシテ人の勇士ゴリアテが現れ、無礼な言葉でイスラエルに戦いをいどみ、彼と一騎打ちをする者を出せと言った。彼は、くりかえして戦いをいどんだ。ダビデは、すべてのイスラエル人が恐怖に満ちているのを見た。そして、ペリシテ人の挑戦を毎日耳にしながらも、誰一人高慢なゴリアテを沈黙させる勇士が現れないのを知って、ダビデは奮起した。彼は、生ける神の誉れと神の民の名誉を保つ熱心に燃え立った。PP 336.2

    イスラエルの軍勢は、意気消沈していた。彼らは望みを失っていた。彼らは互いに言った。「あなたがたは、あの上ってきた人を見たか。確かにイスラエルにいどむために上ってきたのだ」(同17:25)。ダビデは、恥と怒りをいだいて叫んだ、「この割礼なきペリシテびとは何者なので、生ける神の軍をいどむのか」(同17:26)。PP 336.3

    ダビデの一番上の兄のエリアブは、彼のこの言葉を聞いて、若者が何を感じ、何に心を動かされているのかを知った。ダビデは、羊飼いをしている時でさえ、まれに見る勇気と力を表した。また、サムエルが彼らの父の家を訪れ、黙って帰っていったので、いったい彼はなんのために来たのかという疑念を兄弟たちにいだかせた。彼らは、ダビデがほかの者よりも栄誉を受けたのを見て、彼をねたみ、彼の誠実さと柔和な気持ちに対して、当然払うべき尊敬と愛を示さなかった。彼らは、ダビデを年若い羊飼いにすぎないと考えた。そしてエリアブは、この質問をペリシテの巨人を沈黙させるために何もしない自分の臆病に対する非難であると取ったのである。兄は、怒って言った。「なんのために下ってきたのか。野にいるわずかの羊はだれに託したのか。あなたのわがままと悪い心はわかっている。戦いを見るために下ってきたのだ」(同17:28)。ダビデは、尊敬と堅い決心をもって答えた。「わたしが今、何をしたというのですか。ただひと言いっただけではありませんか」(同17:29)。PP 336.4

    ダビデの言葉は王に伝えられて、王は、彼を召し寄せた。「だれも彼のゆえに気を落してはなりません。しもべが行ってあのペリシテびとと戦いましょう」という羊飼いの言葉を聞いて王は驚いた(同17:32)。サウルは、ダビデの企てを思いとどまらせようとしたが、彼は動かなかった。彼は、父の羊群を守っていた時に起こったことを簡単に飾らずに話した。「『ししのつめ、くまのつめからわたしを救い出された主は、またわたしを、このペリシテびとの手から救い出されるでしょう』。サウルはダビデに言った、『行きなさい。どうぞ主があなたと共におられるように』」(同17:37)。PP 336.5

    イスラエルの軍勢は、40日間もペリシテの巨人の傲慢な挑戦に震えていた。彼らは、身のたけが6キュビト半(約3メートル)もある巨大な姿を見ておじけづいた。彼は頭に青銅のかぶとをかぶり、身には重さ5000シケルのよろいを着ていた。また足には青銅のすね当てを着けていた。このよろいは、青銅の板をうろこのように重ねたもので、どんなやりや矢も通さないように細かく結び合わされていた。巨人は、肩には青銅の投げやりを背負っていた。「手に持っているやりの柄は、機の巻棒のようであり、やりの穂の鉄は600シケルであった。彼の前には、盾を執 る者が進んだ」(同17:7)。PP 336.6

    ゴリアテは、朝夕、イスラエルの陣営に近づいて、大声で言った。「『なにゆえ戦列をつくって出てきたのか。わたしはペリシテびと、おまえたちはサウルの家来ではないか。おまえたちから、ひとりを選んで、わたしのところへ下ってこさせよ。もしその人が戦ってわたしを殺すことができたら、われわれはおまえたちの家来となる。しかしわたしが勝ってその人を殺したら、おまえたちは、われわれの家来になって仕えなければならない』。またこのペリシテびとは言った、『わたしは、きょうイスラエルの戦列にいどむ。ひとりを出して、わたしと戦わせよ』」(同17:8~10)。PP 337.1

    サウルは、ダビデがゴリアテの挑戦を受けることを許したけれども、ダビデがこの勇敢な企てに成功するとはとうてい望めなかった。若者に、王自身のよろいを着せるように命令が出された。青銅の重いかぶとが彼の頭にかぶせられ、彼の体にはよろいが着せられた。また、王のつるぎも帯びさせられた。こうして、彼は武具を整えて戦いに出かけたのであるが、まもなく引き返してきた。初めかたずをのんで見ていた人々は、ダビデがとうてい勝ちめのない大敵に手向かって命を捨てるのをやめたのだと思った。しかし、勇敢な青年は、それとは全く別のことを考えていた。彼は、サウルのところにもどってきて、重い武具を脱がせてほしいと願って言った。「わたしはこれらのものを着けていくことはできません。慣れていないからです」(同17:39)。彼は、王のよろいを脱ぎ、ただ羊飼いのつえと袋と簡単な石投げを持って行っただけであった。彼は、谷間からなめらかな石を5個選んで持っていた袋に入れ、手に石投げを持ってペリシテ人に近づいた。巨人は、イスラエルの最も強い勇士と対戦することを期待して、大またに進んできた。盾を執る者が彼の前に進んだ。彼に対抗することができる者は、誰もいないように思われた。彼が、ダビデに近づいてみると、ダビデはまだ若々しい少年にすぎないことがわかった。ダビデの顔は健康で血色がよく、彼のよろいを着ていない体は、がっちりしていて身軽で有利にみえた。しかし、若々しいダビデの姿と、ペリシテ人の巨大な体格とは、著しい対照であった。PP 337.2

    ゴリアテは、驚きと怒りに満ちた。「つえを持って、向かってくるが、わたしは犬なのか」と彼は叫んだ(同17:43)。そして、彼は、自分の知っているすべての神々の名によって、恐ろしいのろいの言葉をダビデに浴びせた。彼は、あざわらって叫んだ。「さあ、向かってこい。おまえの肉を、空の鳥、野の獣のえじきにしてくれよう」(同17:44)。PP 337.3

    ダビデはペリシテ人の勇士の前に、ひるまなかった。彼は進みよって敵に言った。「おまえはつるぎと、やりと、投げやりを持って、わたしに向かってくるが、わたしは万軍の主の名、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルの軍の神の名によって、おまえに立ち向かう。きょう、主は、おまえをわたしの手にわたされるであろう。わたしは、おまえを撃って、首をはね、ペリシテびとの軍勢の死かばねを、きょう、空の鳥、地の野獣のえじきにし、イスラエルに、神がおられることを全地に知らせよう。またこの全会衆も、主は救を施すのに、つるぎとやりを用いられないことを知るであろう。この戦いは主の戦いであって、主がわれわれの手におまえたちを渡されるからである」(同17:45~47)。PP 337.4

    彼の語調には豪胆さの響きがあり、彼の立派な面持ちには、勝利と歓喜の色があった。よく通る音楽のような声で語られたこの言葉は、空に鳴り響き、戦いに召集された幾千の者にはっきりと聞きとれた。ゴリアテの怒りはその極に達した。彼は激しい怒りに燃えて、彼のひたいを保護していたかぶとを押し上げて、敵に恨みを晴らそうと走りよった。エッサイのむすこは、敵に立ち向かう用意ができていた。「そのペリシテびとが立ちあがり、近づいてきてダビデに立ち向かったので、ダビデは急ぎ戦線に走り出て、ペリシテびとに立ち向かった。ダビデは手を袋に入れて、その中から1つの石を取り、石投げで投げて、ペリシテびとの額を撃ったので、石はその額に突き入り、うつむきに地に倒れた」(同17:48、49)。PP 337.5

    両軍の兵隊たちは驚いた。彼らは、ダビデが殺されるものと思い込んでいた。しかし、石が宙に飛ん で、目標に的中した時に、彼らは、大きな勇士がちょうど突然に撃たれて目がくらんだように、震えおののいて両手を上げるのを見た。巨人は、かしの木が倒れるように揺れ動いて、地に伏した。ダビデは、一瞬もためらわなかった。彼は、ペリシテ人のうつぶした体の上に飛びかかり、そのゴリアテの重い剣を両手でつかんだ。巨人はついさきほど、そのつるぎで青年の首を切って、彼のからだを空の鳥に与えると豪語した。ところがそのつるぎが、今、高く振り上げられて、豪語した者の首は切り落とされ、そして、イスラエルの軍勢には、歓喜の叫びが起こったのである。PP 337.6

    ペリシテ人は、恐怖に襲われ、あわてふためいて退却しだした。ヘブル人の勝利の叫びは山々にひびきわたり逃走する敵を追跡した。彼らは、「ペリシテびとを追撃し、ガテおよびエクロンの門にまで及んだ。そのためペリシテびとの負傷者は、シャライムからガテおよびエクロンに行く道の上に倒れた。イスラエルの人々はペリシテびとの追撃を終えて帰り、その陣営を略奪した。ダビデは、あのペリシテびとの首を取ってエルサレムへ持って行ったが、その武器は自分の天幕に置いた」(同17:52~54)。PP 338.1

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